これは『脱税の世界史』で僕が気になった点を整理した記事。
隆盛する国家では、富裕層がちゃんと税を支払う
古代ギリシャの富裕層に課される制度「アンチドシス」は興味深い。戦費や公共物の費用が必要の際、まず富裕な人 A に公共奉仕 (= 寄付) を命じる。A はそれを支払うか、別の富裕な人 B に支払いを転嫁する。次に B は支払うか、または全財産を A と交換する。これを繰り返し、最終的により富裕な人が公共に奉仕する仕組みだ。
このアンチドシスで注目するべきは、「財産を持っている人に命じられる」という点です。国家が隆盛するときというのは、だいたいにおいて富裕層がちゃんと税金を払っているときなのです。が、体制が長く続くと、必ずと言っていいほど富裕層が、いろんな手を使って税を逃れるようになります。そうなると、国は貧しい者から多くの税を徴収するようになり、国が乱れ崩壊していくのです。
脱税の世界史
社会主義が、資本主義の格差を抑制した?
社会主義 (特にソ連) が健在の頃、資本主義は自制を効かせ富裕層から適切に徴税していた。社会主義の衰退以後、資本主義はタガを外して法人税、相続税、所得税の累進課税を引き下げ、日本の法人税も 43.3% (1984) から 23.2% (2008) と大幅に減額した。国の乱れと崩壊が見え隠れする。
資本主義の乱れ – 世界的大企業の逃税
現代の代表的な逃税術が、租税回避地 (タックスヘイブン) だ。租税回避地の起源は英植民地だそうで、ケイマン諸島やパナマなど知る人ぞ知る国が該当する。アメリカ-アイルランド-オランダ-アイルランド-ヴァージン諸島と利益を分散する逃税術 Double-Irish with a Dutch Sandwitch で、Apple は $ 2.4B もの税を免れたとか。
租税回避地の特徴は 「1 税が安い」「2 銀行機密法」「3 租税条約が緩い / 無い」。1 と 2 を満たすシンガポールには、日本ユーザーに Google AdSense を提供する Google Asia Pacific Pte. Ltd. が籍を置く。シンガポールと日本は OECD 租税条約モデルに準じた条約を締結するけれど、日本に籍を置くより税が安いのだろう。
(*) 銀行が政府に情報提供しないことを許可する法律
不平等な日米租税条約
日本アメリカ間の日米租税条約は OECD モデルに従うものの、ひどく不平等だ。米 Amazon が売上を吸い上げるため利益が残らない Amazon Japan は、日本での法人税から逃税している。日本が事業活動への課税を交渉しようにも、米税当局は「米法人がアメリカで納税しており、二重課税は不適当」と拒む。日米租税条約が、課税の適正化を阻むのだ。母国に納税し当局を味方にする米 Amazon の老獪さも光る。
日米租税条約について、野球選手の所得税も印象的。米選手が日本でプレーしても、日本選手がアメリカでプレーしても、多くの場合で所得税はアメリカに支払われるそうだ。なんと不平等なことか。

