カスノート~THE LAST NAME~

不幸が不幸を呼ぶ。
哲夫はそうだった。
いつもと同じようにつまらない日々…そんな日々に嫌気が差していた。つまらないことに慣れはじめ、諦めていた。
「楽しむと疲れる。」そんなヤツばかりのクラスで、幸子だけが哲夫の気持ちを理解できる子だった。哲夫は幸子に思いを寄せ、幸子も哲夫を信頼していた。なのに、あんなことが起こるなんて……
その幸子といつものように話す。周りは静かなクラス…幸子と哲夫の会話だけが教室に響きわたる…
だが、今日はいつもと違った。普段は教室の隅で円周率を覚えていたコロ彦が幸子に話しかけてきたのだ。
コロ彦「一緒に見たい映画がある。」
いつもは言葉を喋れるのかもわからないほどのコロ彦が喋ったのは幸子と哲夫だけでなく、クラス中が驚いた。空気がサラッと変わったように思えた。
幸子は驚きを隠せないまま答えた。
幸子「映画?」
聞いた幸子はコロ彦の顔を見て驚く。泣いているのだった。
幸子「なんで泣いているの?」
泣きじゃくるコロ彦に尋ねた。しかしコロ彦は答えることなく、泣くばかり…あげくには座り込んでしまった。
幸子「どうしたの?」
幸子が尋ねるとコロ彦は走って教室から出ていった。
ボーゼンとする哲夫の口から光る液体が垂れてしまった。それが膝に垂れることで我にかえった。


静まりかえった教室のみんなが幸子を見る。幸子もどうしたらいいかわからず今にも泣き出しそうだった。
そんな幸子を見た哲夫は教室の外へ駆けていき、廊下をもの凄いスピードで走った。廊下の隅で小さく座り、泣きながら円周率を読み上げるコロ彦を見つけた。
哲夫は殴った。
「空気読めよ!」
「やめて!」
哲夫の後ろに幸子がいた。
「ん?おかしいぞ。」
哲夫には全く理解できなかった。哲夫をよそに抱き合う2人…
哲夫が理解したときには幸子とコロ彦は映画に行っていた…
その日、哲夫はクラスメートを次々に殴っていった。幸子への思いをどうしたらいいのかわからずに…
哲夫のクラスのほとんどは学校へ来なくなった。哲夫も来ないヤツらの1人…
学校へ来るのはコロ彦と幸子だけ…
結果、哲夫の行為は2人を近づけてしまったのだ…
あれ以来、幸子と話していない…
だって哲夫は部屋の隅で円周率を覚えているのだから…

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