無頼の獣、のけ者
毎週金曜の2限は1年文系の講義で、文系の授業だけは類を越えて受けるから1類じゃない学生さんたちもたくさんいます
そしてうちのサークルには1年生で1類なのは俺だけなので、サークルの友達と同じ授業を受ける機会は今日と月曜にある文系のときの2回だけなのだ
普通のクラスの友達はかんなり寒いので、今週も授業をサボったりしてるせいでまともに話したのは合計でも10分くらいかも
何が言いたいってサークルの友達と話せる貴重な金曜日が今日だったってことそりゃあ気合い十分で文系に臨みましたよ
しかし、あいにく今日はその友達が体調不良で欠席だったのだこれは非常にでかいせっかくの昼休みが無言に終始するなんてつまらなすぎる
そう思ったが早いか俺は文系の授業の教室を飛び出した言い換えると、大胆にも途中からサボった
そんで行くあてを無くしたこの憐れなバンビは、せめてもの救いを求めて食堂へとゆっくり歩を進めた心に空いた大きな穴を、カレーライスで何とか埋められないかと考えたのだ笑
早めに2限を切ったのだからまだまだ時刻は昼時ではない疎らに点在する空席が、このバンビに座ることが可能であると保証してくれたたいてい食堂は混んでて、座席は空き待ちしないとないからね
ばすっと倒れるように座り込むバンビの視界に、何か見覚えのある人間の顔が映ったそう、サークルの先輩が一人でグダグダしていたのだ
バンビは吸い寄せられるようにその人間の下へと歩み寄り、いそいそとその人間とカードゲームを始めたそのゲームは人間に『ポーカー』と呼ばれているらしかった
何か普通に5枚配って入れ換えたりするシステムじゃない、複雑なルールのそのポーカーはバンビには難解すぎたのだろうかいや、やるのは初めてじゃないんだけど
悲惨なことに、バンビはあれよあれよのうちに、その人間に670円も負けてしまったのだこれでもかと人間の汚いところを見せ付けられたバンビは大きな傷を心に負い、来たる3限の授業ではn階導関数を予想し証明する作業をカッチリとこなしたあと、忽然と姿を消したと言う
その後バンビの姿を見た者はいない