【第3回】電脳世界で不老不死?【全6回連載 声ブログ】
(これは2015年09月06日に,散歩しながら喋った声ブログを文字起こししたもの.全6回に分けて連載するよ)
「ある人の思考回路を完全に再現する人工知能を作成する.それをサーバにアップロードすれば,そのオリジナルの人が死んだあとでも,その人の人格を維持できる」なんていう突飛なアイデアがある.でも,それは2重の意味で「ちょっとそれは嘘でしょ」って思う.
- 人間は体でも考えるから,体ありきだから.
- 体があったとしても,人工知能は生命でないと言えるから
現在の生命の定義(詳細は連載第2回を参照)なら「身体を持っていれば生命である」というわけには行かないので,人工知能は生命じゃないね.でも2点目は割とどうでもいい(笑).文脈上,こういう話をしたから,ついでに理由として挙げたに過ぎない.「サーバに乗ったプログラムはあなたと同一ですか?」という命題に「いいえ,違います」と答えるのが目的だからね.それが生命かどうかってあんまり関係ないよね笑.
そんなことよりももっと重要だと思うのが1点目(詳細は連載第1回を参照).なぜなら人間は,しばらく運動してなければ動きたいなって思うし,しばらく喋ってないと喉の筋肉が弱って喋れなくなるし,寝なきゃ眠いし,寝すぎても疲れるし,走れば疲れるし,汗をかくし,汗をかけば気持ちいいとか気持ち悪いとか思うからだね.
サーバに思考回路だけ残ってたとしても,そういうことは思わないよね.もちろん,いろんな情報を人工知能に食わせて思考回路(「思考回路」って面白いね(笑).本当の思考「回路」!)を強化していくことはできるよね(そしてそれは「本当の」人間によって行われるわけだ).でも人工知能が情報を食って物を考えたところで虚しいよね.
言ってみれば人口知能の思考回路が本当に人間の思考回路と全く同一だったとすると,思考回路をサーバにアップロードするってのは虐待かもしれないね.本当の人間の考える能力だけを残して,体の自由を奪うわけだから,ものすごい虐待かもしれないよね.これはちょっとアトムみたいな話になってきたな(笑).本当の人間に勉強だけさせて思考回路だけは抜群だけど,一歩も外に出られないような子供,そんなふうに育てたらどうなる.虐待だよね.それはちょっとありえない.
同じように,思考機能だけを持った人工知能をサーバの中に閉じ込めるっていうのはある意味虐待かもしれないね.凄いね.そうなるとちょっとどうだろうね,虐待じゃないのかな.ちょっと分からないけど.だから「これから人間が作っていく人工知能は人間なの?人間じゃないの?どっち?」って問題になってくるよね.