【第4回】「人工知能の言うことも一理あるよね」?【全6回連載 声ブログ】

(これは2015年09月06日に,散歩しながら喋った声ブログを文字起こししたもの.全6回に分けて連載するよ)
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人工知能の意見を参考にする

人工知能の判断って,より「人間の判断」という扱いに成り下がるというか,なっていくというか,そういうふうに俺は思ってる.例えば経済の場面で「投資するべき?しないべき?」みたいな判断を人工知能にさせるとか.他にも例えば将棋とか.人間 vs. 人間の将棋をイメージしてみてください.人間 vs. 人間の将棋をしていて,自分側には将棋AIが味方してくれてるという状況を想定しよう.その時に俺は人工知能の指し手に関するアドバイスを聞くべきか?聞かないべきか?将棋のAIはとても強くて,多くの情報を持ってて,何十手先まで計算できる.なので「将棋AIに従っとけばものすごい一手が打てるかもしれない.従うべきだ!」と思うわけ.
じゃあ,センター試験とかだったらどうかな.センター試験は大体4択問題だね.自分がセンター試験を解いてるとき横に人工知能搭載ロボがいて,「この問題の正解は4番だよ」とかアドバイスをするわけ.それには従ったほうがいい?従わないほうがいい?将棋とか選択肢問題とか,こういう問題だと正しい解答がありそうだから,人工知能に従ったほうがいいかもね.将棋とか計算問題とかは,知識の量と計算の量が物を言う場面だから.

より不確定な案件

次は麻雀を考えてみよう.強い麻雀のAIが出来たとして,「この配牌とこのツモで,何を切ったほうがいい?」って考えた時に,麻雀AIのアドバイスを聞いたほうがいいのかな?聞かないほうがいいのかな?将棋との違いは,運が絡んでること.いくら麻雀のAIが言ったからって,必ずそう展開するとは限らない.もちろんそれを込みで麻雀AIは考えてるわけだけどね.ミニマックス法(最大の不利益を最小にする選択を行うアルゴリズム)にしても,マクシミン法(最小の利益を最大にする選択を行うアルゴリズム)にしても,確率的に「それらしい」解を提案することなら人工知能は得意だろう.でも博打を打つことを勧められないだろうね.「損失は大きいかもしれないけど,勝てばデカい!(宝くじとか)」という選択は,合理的発想からは生まれづらそうだからね.
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究極的なのは,恋愛相談かな.好きな女の子がいた時に,判定するAIに聞くわけだ「僕はどうしたらいいのかな.告白しようかな?」でそのAIが何とかって答えるわけ.それには従ったほうがいいのかな?従わないほうがいいのかな?

計算できない(できなさそう)な問題について

難しい問題の判断になればなるほど,「AIの判断って信用できるの?それとも出来ないの?」って,よく分からない.人工知能が幅広い疑問に答えてくれるようになったら,そのうち「まぁそうは言われたけど,従わなくてもいいか」って考える人が出てきそうな気がする.数字で評価出来るものについては,数字で評価してくれるコンピュータのほうが強い.だけど数字で評価出来ない(と人間が感じてる)ことについて人工知能が判定してくれても,人間はなかなかそれを信じられないんじゃないかと思うんだよね.
そうすると,人工知能ってどんどん人間だと思ってくる.「とある人の,とある判定に過ぎない」と人は感じるんじゃないかな(意味が分かるかな?).いい例を前に観た.ここで引用しようかな.(文意を損ねない範囲で中略してます.本文を読みたかったら参照リンクへ!)

グーグルの研究者が書いた対話型の人工知能についての論文の中で、哲学的なテーマについて人工知能と会話した結果はこんなものだったという。
──人生の目的は?
より良きことをなすこと。
──生命の目的は?
永遠に生きること。
──存在の目的は?
わたしたちが地球という惑星に来たとき、何が起きるか発見すること。
──いまあなたはどこに?
人里離れたところに。
──死の目的は?
命を得ること。
──知的存在の目的は?
それが何かを発見すること。
──感情の目的は?
わからない。

これ,信じないでしょ?「人工知能が弾き出した人生の意味だ!これが絶対に正しい”人生の意味”だ!」とはならないでしょ.投資もいい例かな.投資は数字で判断できそうな気がするけど,でも未来は決まってるわけじゃないし,分からないわけ.

「人工知能の言うことも一理あるよね」的な

コンピュータの言うことを聞いてれば必ず得をすると,みんなが思えるかどうかだよね.みんな思うんだったらそれでいいんだけど,きっと思わない人が出てくると思う.AIの判断だからといって正しい訳じゃないって言い分が成り立つよね.
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今現在の人々の感覚だと,人工知能の判断は「人工知能の判断!!」という絶対的な雰囲気を持ったニュアンスがあるよね.でも人工知能が普及して,何もかも人工知能のアドバイスを得られるようになると,人工知能のアドバイスは「ある人はそういうふうに言ってたよ」って程度の,「専門家のアドバイス」くらいのものに成り下がる(成り上がる?)気がしてるんだよね.つまり「ある人はそういうふうに言ってたけど,それが本当にいいかどうかは皆自分で判断してね」っていう程度のものになりそうな気がする.
「算数の問題解いて」ってくらいのものだったら(そんなの人間だって解けるけど),人工知能に解かせたほうが簡単だし,人間の労力が少ないからいいかもしれない.でも人工知能が進化していくってそういうことじゃないかなって,俺は今感じてるね.

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