我ら開閉同好会
おととい、ある夢を見た。はっきりとは思い出せないが、奇妙な名目のもとに集った人間たちの織り成すドラマが、その夢の中心軸だった気がする。
果たしてあの団体は何を目的として集合し、そしてその目的のために何をしているのか。何もかも皆目見当が付かない。夢の詳細は、春の夢のごとく消えてしまった(笑
そうと分かれば、ここはイッチョ、自分で話を作ってみよう
そろそろ僕の大学生活も終わりを迎えるな。そんなことをぼんやりと考えながら、栗須 以革(クリス イカク)は閉ざされゆく青く錆び付いた大きな扉を眺めていた。
今日は以革の大学の卒業式だ。彼は1年の後期に2年次の単位を修得し、2年次には3年と4年の単位を前期と後期にそれぞれ修得。なすべきことを失くした以革は3年から4年までの丸々2年間をサークル活動に充て、充実した大学の4年間を完成したのだった。
以革の所属したサークルの名は『開閉同好会』。文字通り、万物の開閉をこよなく愛する者たちによる集いである。
卒業式が執り行われた講堂も今やすっかり静まり返り、ここに集まる者たちの呼吸の音さえ聞こえてしまいそうだった。最後の集会は卒業式の後に開くのがこの同好会のしきたりだ。
4年生の以革は最年長。他にも会員は数名所属しているが、以革が現在の会長を担任していた。
以革『これで俺達は卒業になる。この開閉同好会にはいい思い出をたくさん作って貰ったし、仲のいい先輩、後輩関係も築き上げることもできた。本当にみんなには感謝してる。これからはたくさんの面白い”開閉”に巡り会うことは少なくなるかもしれないけれど、俺はこれからも”開閉”を大事にしていきたいと思う。
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あのときの”開閉”は生涯決して忘れることはないだろう。
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あの定食屋「ルマショ」にも、もう行けなくなるのかと思うと、寂しくて仕方が無い思いでいっぱいになるようで、……………』
長い長いスピーチを終え、この世のありとあらゆる開閉を愛する同好会の会長、栗須 以革は、当会に伝統的に伝わる、ある言葉で最後の集会を締めた。
以革『話は長くなっちゃったけど、これで俺達4年は卒業だ。みんなこれからも多くの素敵な”開閉”に出会い、心を豊かにしてほしい。
じゃあこれで卒業生代表のスピーチと、最後の集会を終わりにしよう。
開閉同好会の集会は
”閉”会でお”開”きッ』