1Password と Bitwarden を徹底比較。どんな人に、どちらがオススメ?

最終更新日

項目🔒 1Password🛡️ Bitwarden
💸 料金❌ 高い✅ 安い
🩷 信用👍 問題なし✅ 高い
🔰 使いやすさ✅ 高い❌ 癖がある
👁️ 検査✅ 網羅的👍 問題なし
🗃️ カテゴリー🔼 多い (= 複雑)🔽 少ない (= シンプル)
独自の項目で評価したまとめ

💸 料金

Bitwarden のほうが圧倒的に安い。個人利用で、認証器 (6 桁の数字を 30 秒ごとに提示するやつ) が不要なら、なんと無料で利用することもできる!まぁ普通に考えて認証機は必須機能なので、年額 $ 10 ~ ¥ 1,500 と考えるのがいいかな。これで安全と利便性が手に入るんだから、素晴らしいソリューションだ。

1Password も素晴らしいけど、月額 $ 2.99 (年額 $ 35.88 ~ ¥ 5,300) はちょっと割高。3 分の 1 以下の価格の Bitwarden もほぼ同等の機能を提供しているので、僕は Bitwarden を選ぶのが合理的と思った。1Password を 1 年使う料金で、Bitwarden なら 3 年以上使えるってことだもんね。

🩷 信用

Bitwarden は、暗号化方式などを含むソースコードを公開している。公開されているからこそ、自分のログイン情報等の機密情報が安全に管理されていると確信を持てるし、Bitwarden を信用して利用できるというもの。暗号方式そのものが秘密である必要はないとする、ケルクホフスの原理も有名だ。と言っても、僕は自分で検証したりしてないけど😅

Bitwardenのインターフェースが表示されている画面。左側にはアイテムリストとフォルダがあり、右側にBitwardenのロゴが見える。
Linux 用 Bitwarden アプリのソースコードはこちら

1Password は、自身の実装を公開していない。しかし、1Password も十分に信用に値すると思う。AES 256 の E2E 暗号化に加え、AES-GCM-256 で保管庫も暗号化されているそうだ。1Password の安全性は、隠蔽によるセキュリティ (Security Through Obscurity) に依存してるわけではない。

🔰 使いやすさ

動作の正確性においては 1Password に軍配が上がる。パスワードの自動補完を提示するのも速いし、OPT (30 秒ごとに切り替わる 6 桁の数字) もさくっと自動入力してくれる。画面も綺麗に整頓されていて見やすく、プロ用ツールの洗練を感じられる。

Bitwarden は、その辺はまだ磨き込みの途中という印象。ウェブサイトによってはパスワードの自動補完がうまく効かないことがあるし、OPT も自動入力してくれない (自分で貼り付ける必要がある)。画面の美的センスも荒削り (つまり、ちょっとダサい) で、1Password に少し及ばないと感じる。

👁️ 検査

1Password の Watchtower 機能は素晴らしい。パスワード侵害の検出に始まり、2 要素認証の可否、弱いパスワードの修正提案、パスキーの可否などを 1 箇所でまとめて提示してくれる。実際にこの機能は、僕が 129 ものパスワードの使い回しを解消するのに役立った (我ながら酷い安全意識…🤮)。独自に Passkeys Directory を作ったりもしてて、普通にすごい。

パスキー利用可能のオプションが表示されているセキュリティ管理画面のスクリーンショット
1Password が対応する検査項目

Bitwarden にも似た機能はあるが、使いやすさでは 1Password に少し劣る。Bitwarden は Have I Been Pwned と統合されているから、各パスワードで個別に侵害の有無を検証できる。でもスマホアプリだと 1 箇所でまとめて自分の秘密情報の安全性を確認できないので、ちょっと不便。パスキーの提案もしてくれない。FIDO Alliance 公式の Passkeys Directory と統合すれば、提案できそうに思うんだけどなあ。

Bitwardenのレポート機能を示す画像。流出パスワード調査、再利用パスワード調査、脆弱パスワード調査、非セキュアウェブサイト調査、非アクティブ確認調査、情報漏えい調査の各項目が表示されている。
Bitwarden が対応する検査項目

とは言え、この点は 1Password と Bitwarden の比較においてはそれほど重視しなくて良いと考えてる。理由は、これが必ずしも頻繁に使いたい重要な機能ではないから。僕自身で言えば、パスワードの使い回しを修正するために活用して以降、ほとんど 1Password の Watchtower は使わなかった。パスワードマネージャを利用すればパスワードの使い回しはそもそも起きないし、パスキーが使えるかどうかもサービスにログインすれば分かることだし。

🗃️ カテゴリー

1Password は 22 種類もの幅広い秘密情報の登録をサポートしている。Bitwarden でサポートされる 5 種類 (ログイン、カード、ID、Note、SSH 鍵) に加えて、API 認証情報や暗号資産ウォレットの情報なんかも登録できる。

パスワードマネージャーの追加オプション画面が表示されている。ログイン情報、セキュアノート、クレジットカード、ID、パスワードなどの選択肢がアイコン付きで表示されている。
登録できる秘密情報の種類。左が 1Password、右が Bitwarden

これらを使いこなす人にとって、1Password は魅力的な選択肢になりうる。他方、オンラインバンキング対応の銀行ならログインと銀行口座を分ける意味はあまり無い (むしろ 1 つに集約したほうが見やすい) し、暗号資産やデータベースを持ってない人も多いだろう。そういう場合には、よりシンプルな Bitwarden が用途に合うだろう。

総評 – Bitwarden で足りるし、Bitwarden が良い👍

総合的に判断して、僕の選択は Bitwarden に決まった。理由としては、第一に 1Password と Bitwarden で機能的な差がほとんど無いこと。第二に 1Password でなければ実現し得ないこと (秘密情報の種類の豊富さや、Watchtower) は、少なくとも僕のケースではあまり重要ではなかったこと。これらを考慮して、シンプルで安価なソリューションを選ぶのが良いだろうと。

Google Playの購入履歴表示画面。個人年単位サブスクリプションの更新日や価格が一覧で表示されている。
2016 年に初めて 1Password を使い、継続するようになったのは 2023 年

2023 年から契約していた 1Password の有償プランを終了して、2025 年 1 月から Bitwarden に乗り換えた。最初の動機は価格だったけど、使ううちに Bitwarden が好きになってきた。特にオープンソースである点は、僕にとって気持ちがいい。僕は OSS を好んで使う傾向があるので…笑。

Bitwarden に文句がないわけでもない。特に OTP が自動入力されない点と、動作が遅く感じることがある点は、明らかに 1Password より劣ってると思う。あと、ところどころデザインがちょっとダサいのも。でもこれらはほとんど別に大した問題じゃないし、むしろ OSS を支援したい気持ちのほうが強いかな。

ログイン画面のイラストには、手のひらを上に向けて振るアニメーションと、マスターパスワードの入力フィールド、パスワードのヒントを取得するリンク、デバイスでログインするオプションが表示されている。
パスワード入力時の跳ねるアニメーションも、慣れると可愛い

余談だけど、最近 LastPass を使ってみた。これは酷いね。とても年間 $ 36 ~ ¥ 5,400 とは思えない品質。例えば:

  • ログインする ID を選んだら自動で対応するパスワードを入力してほしいけど、LastPass は入力しないことがある。
  • 2024 年 11 月の時点でなお、パスキー対応がベータ版だったのも衝撃的 (対応が遅すぎる)。
  • ブラウザ拡張 (試したのは Chrome 用Firefox 用もある) は、意図せずサイトを開いちゃったりデザインがダサかったりで、使いにくい

品質面では 1Password > Bitwarden > LastPass の順に高く、価格の手頃さでは Bitwarden > 1Password > LastPass の順かな。

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