美字の湖

文字に関する2つの話をしよう.特に一つ目の話は前の記事でも話してるから,見てみるのもいいかも.


斜体字の傾斜方向は?

英字を斜体にするときには普通,水平線をそのままに,垂直線を右に傾けるだろう.その一方で,漢字を美しく書こうと思った場合,今度は逆に,垂直線をそのままに,水平線を右上に伸ばすことが多い.この差異,ラテン文字と漢字の,傾斜に関する美意識の違いの根本は何だろうと考えてみた.そして,ある一つの結論を導いた.
英字は当然のごとく横書きに使う文字だ.ビルの壁なんかに取り付けるタイプの看板の中では縦書きになっているものもあるけれど,でも基本は横書きだ.一方,漢字という文字は,今となっては横書きにすることも多いけれど,本来中国で生まれた時には縦書きにして使う文字だった.それが,西欧文化の輸入の影響か何かで横書きにすることが増えただけで.そのことと,美意識の違いの原因には関係がありそうだと思うのだ.
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これは端的に示すために,大袈裟に傾けた(30°傾いている)文字の画像だ.まず左の縦書きの文字を見てほしい.縦書きで注目すべきはもちろん漢字の方である.漢字は先にも述べたとおりに,水平線を右上に伸ばす書き方を用いることが多いが,これは文章を書いている行を平行四辺形的に変形している形になっている.次に右にある横書きの文字を見てほしい.ここでは英字に注目しよう.英字は先にも述べたとおり,垂直線を右上に傾けて斜体を表現するけれども,これは文章を書く行を,これもまた平行四辺形的に剪断変形している形だ.
このように,英字と漢字で,美しく文字を記そうとする場合の傾ける方向の違いは,本来の記述様式の影響があることが見て取れる.そして,面白いことに,共通なのは「右上の角を鋭角にする」ということだ.人間が美しいと感じる形の,本質がここにあるのかもしれない.
オマケ的に,縦書きした英字を,漢字に倣って傾斜させたものと,横書きした漢字を,英字に倣って傾斜させた物も載せた.もしも漢字や英字の記述様式(ここでは縦書きか横書きか,ということ)が現在とは異なるものであったら,斜体のデザインはこうなったに違いない,という想像図として考えられないものか.横書きでこのような傾斜持った漢字なら見たことがあるかもしれないね.それなりに美しさを感じられるのは,やはり「右上の角を鋭角に」という普遍的な美の条件を満たしているからだとすると,とても面白い.

TeXで美しい連分数を書こう

最近自分のパソコンにTeXを導入した.理系の学生なもので,数式入りの文書などを体裁よく記述するには最適のソフトウェアだ.しかし,連分数について,美しくないと感じるところがある.まずはこの画像を見てほしい.左が自分で調整を施した後の数式,右が単純にTeXの記法に則って数式を記述したものだ.連分数とは,分母や分子に,さらに分数が入れ子になっている式のことであるが,明らかに右の式は美しくない.分子の中の分数や,分母の中の分数が上下に潰れてしまっている.式の左辺の文字との大きさの整合性も合わず,非常に不恰好な連分数の表記になっている.
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これを回避するために,「\displaystyle 」というおまじないを使う必要がある.このおまじないを使うと,少なくとも文字のサイズについては左辺と右辺で(というか,連分数の中と外で)整合性が取れるようになる.しかしそれでもまだ不十分だ.入れ子の外側にあたる分数の,分母分子を分かつ線が短すぎる.この問題を解決するためには,さらに「\hspace{5mm} 」というおまじないを分子の両側に付けてやる必要がある.そうすることで,(分子で言うところの)gの下の線がより左に長く,微分の式の下の線もより右に長く伸びてくれる.以上を行って完成した式が,画像の左側の式というわけだ.
この「\hspace{5mm}」は,実際の用紙サイズ内での長さを直接指定しているものなので,適宜変更可能だ.つまり,今回は5mmでちょうど良かったが,不十分なら7mmでも10mmでも指定できるということだ.逆に負の数を入れることも可能で,その場合分数の線は短くなる.とりあえず最近のセミナーのレジュメをTeXで完成させたので,一通りの操作には親しんだ感がある.これからもお世話になるので,よろしくねTeX!

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