思考回路更改

テストがぜんぶ終わった。だけど達成感とか解放感とかまるで感じない。ここにあるのは、なんて俺は勉強できないんだろう、という無力感。
ああでしょ、こうでしょ、だからそうでしょ、これで全部よ、分かった?はいじゃあ問題解いて!
って言われても問題解けない。俺がして欲しい教え方は、小手先だけの受験指導みたいだけど、この問題にはこう当たれ!みたいに型に嵌めるやり方だった。
なまじ高校の数学や物理ならだいたい全部理解しちゃったばっかりに、全体を見れば部分も分かるだろ。みたいな演繹的思考回路こそが明晰な頭脳の証みたいに考えていました。
違いますね。
学問、特に理科系は、ここはこうだ、あそこはああだ、そしてそこはそうだ、じゃあ全体はこんなだろう。みたいな帰納的思考から入らないと分からない。てかこれ俺の体験談十割ですけど、たぶん天才じゃなきゃみんなそのはず。
突然抽象的なこと言われて、じゃあこの具体例ではどう?みたいに聞かれたって分かんないよ。
『1から順番に奇数を、n番目まで全部足し算したらnの2乗になるんだよ。じゃあ1番目から10番目までの奇数を全部足したらいくつ?』
って足し算習いたての子に言ったってねぇ。まあこの場合、2乗も登場するからかけ算も知らなきゃだめだけど、そういう問題じゃないってのは、かけ算習いたての子にこれを出題してみたら分かる。はず。
言いたいのは問題が解けるとか解けないとかの前に、意味が分かるか分からんか。その点に今は着目しております。
まずは具体例、具体例、具体例。そこから規則性が見えてきたかい?じつは全体を抽象的に述べるとこんな感じなんだ。って順序。
何が言いたいって大学の講義は何もかも抽象論から話しすぎて、結局何の話か最後まで分からないまま。そこでその抽象論を演繹して具体例について考えなさいって。分かんないわ。
せめて『抽象論を演繹して具体例について考える』という作業そのものの具体例くらい示してほしい。そして出来るならたくさん示してほしい。
つまり、天才でもない限り抽象論からじゃ理解できません。具体例を十二分に提示して、それから抽象的な段階へと登ってください。
うん、何と無く抽象論は具体例を包括しているという点で、具体例より大きな存在、上位の存在という認識があるなあ。でも実際抽象的な言葉ってなんか偉そうだよね。
限りないものは二つある。一つは宇宙、もう一つは人間の愚かさだ。ただ私は、宇宙については確信を持っていない。
かのアインシュタインのお言葉。まあ偉い人だから特に構わないんだけど、やっぱり全てを見透かし知ったような口振りだよね。
私は天才ではない。人より少し好奇心旺盛なだけだ。
これもアインシュタイン。身近な話で、具体的で、分かりやすいし親しみも湧いてくる。
 ┏━━━━┓
 ┃ 抽 象 ┃
 ┗━━━━┛
 演│  ↑帰
 繹↓  │納
 ┏━━━━┓
 ┃ 具 体 ┃
 ┗━━━━┛
そう言えばどこかの物理学者が言ってた。
『モデルを示せない概念は無意義だ』ってさ。抽象的だね。

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