▼破壊と創造を繰り返す狂気の神様
梅雨明けのあとの雨に降られて今日は思いの外に冷える。物理の授業をさぼり、まったりと第二食堂であったかい緑茶の湯気を顔に浴びながら音楽を聴く。耳にしたiPodは均質で退屈な日常を排し、勇気と希望とそれから愛を高らかに歌っている。
久し振りに着る薄い長袖にぶりっこで少し手を隠して、足でも組んでぼうっとホットペッパーを眺める。お洒落なバーや安い焼き肉、食べ放題も飲み放題も鮮やかな写真に収まって、俺に食べられる日を待っているのだ。
突然にざわめき出した集団に突き動かされ、一緒になって食堂をでる。見上げた空は、辺り一面真っ白な曇り空。雨上がりの空気に包まれながら雲の切れ間を探すと、そこには皆既日食の太陽。
地球と、地球を回る月と太陽。三つの星たちが、運命的に一つの直線の上に並ぶ瞬間。この広大な宇宙に奇跡の時間が訪れたのを目にした俺は、大きく心を震わせる。三日月のように欠けた白昼の太陽は、あくまでも白く輝き続けた。
その果てしない偶然を讃えるように、iPodは波乗りジョニーのイントロを奏でだす。歓喜と興奮の渦が、俺という宇宙も満たしていった。
幸せだった。
いらっしゃいませ。そして永遠にさようなら。
(2009/07/22)