軌道進化を考慮したケンタウルス族小天体の彗星活動の有無とその継続時間

概要

海王星からの重力相互作用により、カイパーベルトから太陽系のより内側へと進入し、軌道不安定のために比較的短い寿命を持つ天体群をケンタウルス族と呼ぶ。後述するケンタウルス族の定義に合致する太陽系天体は、92 個が確認されている。そのうちの 16 個のケンタウルス族天体は、彗星のようなコマを持つことが分かっている。そのようにコマを持つケンタウルス族天体を「アクティブな」ケンタウルス族天体と呼ぶ。コマの発生にとって、太陽からの熱による「非結晶氷の結晶化」の働きが鍵になっていると推測されているが、アクティブなケンタウルス族がどのくらいの期間、コマを保持し続けるかについてはまだ分かっていない。

本論文の目標は、アクティブなケンタウルス族天体がその寿命のうちで、どれほどの期間アクティビティを継続するのかを知ることである。そのために、太陽、木星、土星からの重力を受けて軌道を変化させる粒子をケンタウルス族天体として想定し、制限 4 体問題による軌道計算を行う。そして、求めた軌道からケンタウルス族天体の表面の温度変化を見積もり、非結晶氷の結晶化の温度依存性を適用して、ケンタウルス族天体のアクティブな期間を調べる。

数値シミュレーションの結果、結晶化過程が 105 年程度継続すれば、観測と概ね調和的であることが示された。表面を太陽からの光で暖めても、非結晶氷がすぐに結晶化を始めるわけではない。非結晶氷は結晶化氷に埋まって存在しているから、熱がケンタウルス族天体内部まで伝播して初めて結晶化が生じる。過去の論文では円軌道を想定して、結晶化は 104 ∼ 105 年が継続すると見積もられていたが、ケンタウルス族天体の中でも特に離心率の大きいものに関しては、結晶化は (104 年ではなく)105 年継続すると考えると観測をある程度再現できる。

学部卒論

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