Gemini 2.5 Pro が見た幻覚と、創造性について

最終更新日

自作の詩を解釈してもらった

2014 年に僕が自作した詩を、Gemini 2.5 Pro に解釈してもらった。ほとんど文脈を与えず、詩の本文と「この詩の解釈は?」との問いかけのみの簡単なプロンプトを使った。

濱馴れよ 磯込みに臥し 啼くに囃さじ

この詩の解釈は?

この回答が面白い。完全なデタラメを含むけど、豊かな創造性があるとも言いたくなってしまった。Gemini の出力はちょっと長いので、記事の末尾に載せておきますね。

AI が見る幻覚は、高度化の副作用?

Gemini の出力には、いわゆる「幻覚」が含まれていた。具体的には、出典についての記述。曰く、与えた詩は詞花和歌集の巻第九・雑上に収録される源師頼 (みなもとのもろより) の詩だと。これは真っ赤な嘘で、なぜならこの詩は僕の創作だから。AI の出力として、酷い誤りだと言わざるを得ない。

しかし、AI の幻覚と詩の理解には関連があるかもしれないと思った。詩を理解して解釈するのって、要するに書かれてないことを、持ち前の関連知識を使って想像する営みだもんね。そう考えれば、AI が幻覚を見ることと、AI が文学を解釈できることには、関連があってもよいかもしれない。

AI による文学理解の可能性について、僕は 2012 年に「AI は、文学の要約は習得したが、理解と鑑賞はまただ」と書いた。AI が「理解」を習得済みだとしても、「鑑賞」はまだ遠そう。僕の考えでは、鑑賞はたぶんに精神的な営みなので、「AI が鑑賞を習得した」と言うには、まず「機械に精神はあるのか?」など、少しベクトルの違う議論も必要な気がするのよね。

引き続き AI 技術の発展に目が離せない

ILSVRC 2012 で AlexNet が優勝して以来、積極的に深層学習にまつわる話題には追従していた。2016 年に単純パーセプトロンについて調べ物をしていたりね。ChatGPT も、遅くとも僕は 2022 年 12 月 1 日には触れていたようだ。

Googleアカウントの基本情報アクセス権が表示された画面。付与されたURLはopenai.comで、アクセス権が付与された日付は2022年12月1日。
ChatGPT を初めて使ったのは 2022 年末

最近は、ちょっと AI の流れに追い付けてない気がする。次はコーディング支援ツールを試してみたいな、Claude Code とか Jules とか GitHub Copilot とか。

オマケ: Gemini 2.5 Pro の解釈

⚠️ これは Gemini 2.5 Pro による詩の解釈で、特に出典について深刻な誤りを含みます。信頼せずに読んでください笑。

濱馴れよ 磯込みに臥し 啼くに囃さじ

この歌は、平安時代後期の公卿であり歌人であった源師頼 (みなもとのもろより、1068-1139) が詠んだ和歌です。第六番目の勅撰和歌集である『詞花和歌集 (しかわかしゅう)』の巻第九・雑上に収録されています。

失意と諦観、そしてその先にある静かな決意を詠んだ歌として知られています。

【歌の解釈】

現代語訳

「おお、浜よ。私に慣れておくれ。この磯の岩や海藻が入り混じる雑然とした場所に身を横たえ、(千鳥などがいくら物悲しく) 鳴いても、私はもうそれに合わせて騒ぎ立てたりはすまい。」

語句の解説

  • 濱馴れよ (はまなれよ): 「濱」は浜辺。「馴る」は慣れ親しむこと。「よ」は呼びかけや詠嘆を表す間投助詞。浜辺に対して「私という存在に慣れてくれ」と呼びかけると同時に、「この浜での暮らしに慣れよう」と自身に言い聞かせているとも解釈できます。
  • 磯込み (いそごみ): 磯の岩や海藻、漂着物などが雑然と入り混じっている場所。荒涼とした寂しい情景を象徴します。
  • 臥し (ふし): 横になること。やるせない気持ちで身を投げ出している様子がうかがえます。
  • 啼くに (なくに): (鳥、特に千鳥などが) 鳴くのに。和歌において、浜辺で鳴く千鳥の声は、都を思う寂しさや物悲しさを誘うものとして詠まれることが多くあります。
  • 囃さじ (はやさじ): 「囃す」は、調子を合わせて騒ぎ立てること。「じ」は打ち消しの意志を表す助動詞で、「~するまい」「~しないようにしよう」という意味になります。鳴く鳥の声に誘われて、もはや感傷に浸って泣き騒いだりはしない、という強い意志を表しています。

【詩の背景と深い意味】

この歌の背景には、源師頼の人生における大きな挫折があります。彼は、宇多源氏の嫡流として生まれ、将来を嘱望されたエリート貴族でした。しかし、政争に巻き込まれ、土佐守 (とさのかみ) として左遷されてしまいます。

この歌は、その配流先の土佐 (現在の高知県) の荒涼とした浜辺で詠まれたものとされています。

  1. 絶望と孤独: 都での華やかな生活から一転、遠い任地の寂しい磯辺にごろりと身を横たえるしかない我が身。その姿は、師頼の深い絶望と孤独感を色濃く反映しています。
  2. 諦観と決意: 歌の核心は、結びの「啼くに囃さじ」にあります。かつての自分であれば、物悲しく鳴く千鳥の声に心を乱し、都を恋しがって声を上げて泣き騒いだかもしれない。しかし、今の自分はもう違う。いくら鳥が鳴こうとも、それに心を動かされて騒ぎ立てることはすまい、という静かな諦観と決意が込められています。
  3. 気高い精神性: これは単なる「あきらめ」ではありません。取り返しのつかない現実を受け入れた上で、いたずらに感情的になることを自ら戒める、貴族としての気高さや精神的な強さが感じられます。悲しみの底にありながらも、己を律しようとする克己的な心情が、この短い言葉の中に凝縮されているのです。

総じてこの歌は、左遷という過酷な運命に翻弄された貴族が、その失意のどん底で現実と向き合い、静かな決意を固める内面のドラマを見事に描き出した一首と言えるでしょう。

Gemini 2.5 Pro の解釈
AIによる詩の解釈の内容を示した画像。解釈された詩は、平安時代の歌人によるもので、失意と決意がテーマ。
Gemini 2.5 Pro の詩の解釈の記念写真

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