資産運用と人生設計についての考察 (2018)

💡 これは 2018 年 8 月 28 日に録音した声ブログの文字起こしです。2025 年現在の僕の考えとは一部異なる場合があります。

3,000 万円のマンション投資

友達が池袋に 3,000 万円のマンションの一室を買ったらしい。すごい決断だ。35 年ローンという一番長い期間でローンを組んで購入したそうだ。

そのマンションはいわゆるオーナーチェンジ物件で、すでに入居者がいる状態だという。マンション投資には固定資産税など色々な費用がかかるが、建物の減価償却費 (鉄筋コンクリート造なら 47 年) を経費として計上できる。3,000 万円の建物を 47 年かけて減価償却することで、毎年の所得と相殺し、所得税を節税できる仕組みらしい。

「賢いお金の運用」とは、多分こういうことを言うのだろうと思っていた。しかし、いくら借入をして借金のある人間になったとしても、トータルで見て本当に得をするのかどうか、これはまるで事業のようだ。まあ、それが金融ということなのだろうけれど。

マンション投資は儲かるか?

彼は今、35 年ローンで 3,000 万円の負債を抱えたわけだが、毎月の家賃収入があるなら損ではないという考え方もできる。ローン返済が月々 9 万円で、家賃収入が 10 万円ちょっとらしいから、人が住んでくれている間は毎月不労所得がある計算になる。それはすごいことだ。

しかし、35 年間同じ人が住み続けるわけではない。築年数が経ち、例えば築 10 年になった時に入居者が退去したら、次の住み手がすぐに見つかるのか。そういう不確定性がある。リスクを平準化するのがデベロッパーの役割だが、理想的にはデベロッパーと個人投資家 (部屋の所有者) が利益をシェアし、少しずつ儲けるビジネスモデルなのだろう。

それにしても、いきなり 35 年ローンを組んだというのは驚きだ。2020 年からだとしても、完済は 2055 年頃になる。2050 年代の半ばまでローンが残り、負債を払い続けなければならない。それが良い投資になっていればいいし、収益が回っていればいいのだが、そこにはリスクもある。 とはいえ、少なくとも今は毎月 1 万円の不労所得があり、さらに様々な控除を駆使することで、今年や来年は所得税が 30 万円ほど節税できるらしい。3 年目以降は効果が薄れるそうだが、節税になるのは良いことだ。羨ましい話でもある。

お金に代わりに働いてもらう

ある種、僕も個人事業のような感じで、趣味ではあるがプロジェクト的に色々と試している。これらを経費として計上するのはありかもしれない。やはり友達のように確定申告をやった方がいいのだろうか? 利益が出ていなくても、何のためにやるかといえば、例えばドメイン代や PC 代、継続的にかかる費用を経費にするためだ。 また、外注でプロモーションビデオを作ってもらう費用なども経費計上できる。

考えてみれば、本来なら発生しないで済んだ 5 万円の出費を喜んで出し、その代わりに 1 万円の節税になったとしても、実質 4 万円の出費にはなる。それを補って余りある利益がない限り、出費していることに変わりはない。 しかし、「時間を買う」「コスパを高める」という意味では良いのかもしれない。自分でプロモーションビデオを作ろうと思ったら、素材作りから使い方の習得、レンダリングまで膨大な時間がかかる。それを 5 万円程度で一任できるなら嬉しい。今は自分のフォントを配布することを目論んでいるから、そこに向けて上手にお金を運用したい。単純な消費であっても、それが経費になり節税になるなら一石二鳥だ。

まあ、3,000 万円のマンション購入はすごい決断だと思う。よく踏み切った。今は入居者がいて順調でも、築年数が経った時にどうなるのか。毎月 9 万円の垂れ流しになるリスク、ただの「負債」になってしまうリスクもある。 それでもトライするのは全然ありだし、自分がやらなくても、誰かがトライした話を聞くだけで十分学びになる。むしろ何でもかんでも自分でやるより、先人の知恵に頼る方が正しいアプローチかもしれない。

積立型の生命保険でも資産運用

なんともう一人の友達は、積立型の生命保険をやっているらしい。60 歳まで払い続けるのではなく、月額を増やして 10 年で払い込みを終えるプランだそうだ。 10 年で払い終わった後、そのお金を保険会社が運用してくれる。元本保証で、年利 3% (実質 2.2% 程度?) で増え、40 年後には 3 倍になっているという話だ。

ただ、40 年後の「3 倍」にどれだけの価値があるかは疑問だ。10 円が 30 円になっても嬉しくないが、1 億円が 3 億円になればめちゃくちゃ嬉しい。年 100 万円も払わないだろうが、仮に総額 300 万円払って将来 900 万円になるなら、差額 600 万円の得だ。しかし、40 年後の 100 万円の価値が今と同じかはわからない。 この保険の良いところは、銀行預金とほぼ同じ感覚でいつでも解約でき、その時点での含み益で利益確定できる点らしい。流動性があるのは素晴らしい。元本保証というのも夢のような話だが、あるというのだからあるのだろう。

40 年後のためにどれだけやるかというのは重要な判断だ。 投資用マンションを買った友達も、それで黒字化して収益を得たいというよりは、「節税のために買った」という位置付けが強いらしい。プラマイゼロ、あるいは多少赤字でも、節税効果で結果的に黒字に着地させたいのだろう。 個人的には足の長い投資は難しいと思う。自分で介入する余地がないし、期間が長すぎるのが不安だ。35 年後のことなんて何も約束できない。生きているかどうかもわからないし、独身か、結婚しているか、子供がいるのか、その子供が成人しているのか、何一つわからないからだ。

計画と人生の主従

人生を計画的に進めるという考え方はありだが、ファイナンシャルプランナーの話などを聞くと、「計画が主で、自分の行動が従」になっている気がして、すごく逆転しているように感じる。 今年本当に思ったのだが、計画を立てることにはすごく意味があるが、それに固執するのは良くない。 僕の 2018 年の目標は、「動画をたくさん更新する」「解析学の勉強をする」などだった。しかし、年始には全く想定していなかったことだが、実際には英会話教室に通うことになった。70 万円もの巨額な自己投資をしてだ。これは元旦の時点では全く想像していなかった。

つまり、「一年の計は元旦にあり」と言うが、計画を立てることは重要でも、それに従うだけの行動はもはや「受け身」だ。計画は随時更新されるべきで、いかに次の新しい計画を立てるか、いかに立てた計画を良い意味で裏切っていくか、ということが結構大事だと思っている。 逆説的だが、「計画は立てるべきだが、計画に従うべきではない」。もちろんベースとして従うべきだが、新しいチャレンジを阻害してはいけないし、計画から外れることを恐れてはいけない。 予測不能な事態で出費や時間の浪費が発生した時、それを挽回しようとするのも重要だが、挽回不可能なケースもある。そういう時は潔く計画を下方修正する。あらゆる瞬間に自分の計画を見直すという視点が大事だ。

その点、積立型の生命保険の話に戻れば、いつでも解約できる (= 計画を撤回できる) プランを選んでいるのは正しい選択だと思う。そうでないと、今後何十年も自分を縛り続けてしまう。 「今はいい」と思っても、将来「やっぱり良くなかった」と思う瞬間は必ず来る。その時に撤回できないのはものすごいリスクだ。 例えば人口減少で土地の値段が下がり、家賃を 5 万円に下げないと人が住まない状況になったとする。ローンは 9 万円、家賃は 5 万円。毎月 4 万円の赤字垂れ流しになる。その時、売ろうとしても残債より安くしか売れず、結果損をする。 いずれにしても、撤回できない意思決定は怖いというのが僕の考えだ。

個人プロジェクトとお金の計画

最近、仕事だけでなく趣味においても「計画を立てること」の重要性を痛感している。趣味のプロジェクトに計画性を持ち込んだら、段取りを組む面白さがプラスされた。趣味ならノルマもないし誰にも怒られないから、そのトライ & エラーのプロセス自体が面白い。

今やっているのは、自作フォントをグッドデザイン賞に受賞させるプロジェクトだ。どうやって知名度を獲得し、使ってもらうか。 まず最初にやるべきは、グッドデザイン賞の応募要項や審査要件をチェックすることだ。それに適合する事実を後付けで作るために、今から何をしなきゃいけないかという「逆算」をすることが非常に大事だ。 以前、がむしゃらにやっていたようなストレートなやり方、それはそれで事実 (ファクト) なのだが、後から振り返って人に説明する時の理由は、往々にしてそれとは異なる。 野球のバッティングスキルを身につける時、自分では試行錯誤しながら答えに近づいていく (ボトムアップ)。しかし、コーチが教える時は「ここを意識しなさい」と結論ありきで説明する (トップダウン)。自分が辿ってきた試行錯誤のプロセスは端折られてしまうが、世の中で語られるのは、往々にしてこうした「結論ありき」の理由だ。だから、それ (受賞に足る理由) を意図的に作る必要がある。

10 年で払い込みが終了する生命保険に入った友達も、35 年ローンでマンションを買った友達も、みんな資産形成やお金のマネジメントについてちゃんと考えているということだ。 そういう関心のレベルが合う人と話すのは楽しい。YouTuber として一方的に喋るのも楽しいけれど、資産運用のような少し踏み込んだ話をできる友達がいるというのはハッピーなことだ。友達がそういうことに興味がなければ、誰にも話せないからね。赤の他人に、まさか自分の資産運用について喋ったりするわけにもいかないし。まあ、そんな感じかな。

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