5,000 字超!メトロイド プライム 4 を徹底的に語り尽くす長文レビュー

最終更新日

全体的な感想としては、非常に満足!僕の独自の 4 段階評価スケールでいえば上から 2 番めの ⭐⭐☆、「期待は超えなかったけれど、まあ満足だ!」の位置付け。

メトロイドらしい発見の楽しさと手応えがある世界は魅力的で、気付けば自然とアイテム回収率は 100% になっていた。逆に言えば、初見プレイで普通にプレイして 100% だったから、やり込み要素はもっと多くても良かったかも (少なくとも僕にとっては)。

以下、ネタバレ全開でレビューしていく。未プレイの人は注意して読んでね。

圧倒的なアート、グラフィック、サウンド

アートスタイルとグラフィックのクオリティは特筆に値する。Nintendo Switch と Switch 2 の縦マルチであることを考えれば、この美麗さは驚異的ですらある。サムスやヴァイオラのデザインはもちろん、クリーチャーやラモーン文明の意匠も素晴らしかった。環境アートでは過酷なアイスベルトは際立って美しく、フューリーグリーンは冒険の始まりとして素晴らしい予感を与えてくれた。

メトロイドプライム4 ビヨンド Nintendo Switch 2 Edition 紹介映像 – YouTube

サウンドや環境演出も効果的で、冒険をときに引き締め、ときに盛り上げてくれる。グリーバーの出現時のサウンドは、初代『プライム』のスペースパイレーツ戦のサウンドを彷彿とさせる (ただ、グリーバーはパイレーツほど厄介でなく、適当に撃ってれば倒せちゃうんだけど)。不気味なアイスベルトの研究施設は、探索に “緊張感” というスパイスを効果的にもたらした。緊張感を欠いては、探索は味気ないからね。

思わず熱中する高い戦闘難度と新メカニクス、そして仲間

新しく導入されたコントロールビームは、戦闘と謎解きの両面に新鮮な楽しみを追加してる。ザコ敵ではボルトフォージで頻繁に衝突するサイボット・テレポーターやラモーン製ビームタレット、ボスではカーベックスと、戦闘の攻略自体に謎解きの側面を与えている。後半では活躍が限定されてしまうのはちょっと勿体なかったかも。

ゲーム全体の難易度は高めだけど、これくらいが丁度いい。各ボスで数回は負けたし、特にオメガ・グリーバーは攻略を考えるのが面白かった。序盤のボルトフォージは、サムスが弱く敵が強いから探索の歯ごたえは抜群だし、そもそもマップがある程度複雑なのも良かった。メトロイドはハードコアなゲームだし、ノーマルモードがこれだけの難易度で立ちはだかるのは正解だと思う。

銀河連邦兵士の存在も、物語の起伏に貢献していた。サムスと他の人とのやり取りは新鮮だ (『プライム 3』にも銀河連邦軍が登場するそうだけど、僕は未プレイ)。少しメタな見方をすると「ワープ事故」の設定は巧妙で、登場人物を少なく絞ってキャラクターを深掘りするコストを抑える正当性になってるかもね。

広大というより空虚なソルバレイを、どう味わうか?

『プライム 4』に課題があるとすれば、ビューロス世界の中央に広がる砂漠、ソルバレイだろう。開発者はインタビューで「”ネットの意見” に応えてソルバレイを導入した」と語っている😮‍💨。こればっかりは、流行りに翻弄されてねじ込まれた安易な要素と言わざるを得ない。

プロジェクトのスタート当初は (…)「オープンワールドの『メトロイド』をやってみたい」という意見がネット上ではそれなりに多く見受けられました。(…) そこで自由に動ける範囲を限定的に設け、ハブとしてほかのエリアをつなげることを考えました。そのエリアをバイクで気持ちよく移動できたなら、探索の緊張感を緩和するパートとしてゲーム全体のペーシングに緩急がつけられる

『メトロイドプライム4 ビヨンド』約18年ぶり新作秘話。…【インタビュー】 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

実際にはソルバレイの広さはむしろ負債で、それを正当化するために追加されたヴァイオラやグリーン・クリスタルも連鎖的に失敗している。おそらくソルバレイもヴァイオラもなくして、もっとシンプルな構成にした方が体験の密度は上がっただろうね。あの妙に唐突感のある教習所もカットできるし。

それでももし、ソルバレイやヴァイオラが絶対に外せない要件なら、どんな仕掛けがあればさらに強みを活かせただろう?少し妄想を広げると、改善案が大きく分けて 3 つ思いついたので書いてみたい。

[1] グリーン・クリスタルとヴァイオラで、物語と体験を駆動せよ

グリーン・クリスタルの収集は、物語の随所にチェックポイントを設けて定期的に強制しよう。ラモーン族の歴史を引き継ぐのに不可欠なら、重要性を繰り返し強調してもしすぎということはない (少なくとも、物語上は)。最後の最後で急に集めろと言われてもウンザリするだけだ ―― 実際に僕は終盤になってもノルマの約 1/4 しか集めておらず、1 時間くらいソルバレイを周回して収集した😅

そもそもグリーン・クリスタルをロックオン可能にし、ヴァイオラのプロジェクタイルで破壊できるようにするだけでもだいぶ良くなる (このレビューで提案されてる)。最小限の変更だけど、収集の雑用感をグッとスマートな遊びに昇華できる。

ヴァイオラはカッコいい。もっと活躍するべきだ

さらにヴァイオラは、サイラックス戦などでも積極的に使いたい。各ボス戦でヴァイオラのメカニクスの限界を追求したギミックを盛り込んだり、思い切ってラスボス戦の第 2 フェーズでロックジョーモードのサイラックスとカーチェイスを繰り広げるなどして印象的なイベント戦に組み込めば、プレーヤーはその異様なまでの存在感すらもきちんと消化できただろう。「ああ、だからこんなに延々と走る必要があったのか」と。広大なソルバレイを飽きるほど走らされた挙げ句、2 回のボス戦 (フェロノス戦とバーミス戦) 以外にこれといった味変や応用もなく終わるのは忍びない。

まぁ現状だと、ボス戦で使うにはヴァイオラはアクションの幅が足りないかもしれない。プロジェクタイルとブーストしかやれることが無いからね…

[2] 銀河連邦の存在を、ノンリニアなゲームプレイを支える切り札に

写実的なグラフィックは、銀河連邦の人々の描写にこれまで以上の説得力を与えるのに成功している。存在感のある人間が活き活きと会話する中、”孤高” のサムスが無言で頷くだけなのはさすがに滑稽だったが、ともかく銀河連邦の面々はゲーム体験の密度を高める素材の宝庫だ。

最大のポテンシャルは、ポーズ画面の「通信」だ。これを、ヒントシステムと世界設定の演出を効果的に兼ねる重要機能と位置づけたい。せっかく連邦軍兵士との共闘を描くのだから、いつどこで発信しても異なる応答が得られるくらいの作り込みが欲しいところ。実際には発信してもほとんど不通で、実質的に無意味だったのは本当に惜しい。テキストの作り込みでグッと良くなる、投資対効果の高い改善点だ。

ロボットキャラクターのマッケンジーが座っている姿。黄色とグレーのスーツを着ており、コンピュータデバイスを手に持っている。背景にはぼやけた風景がある。
通信を担当する特殊技能兵 マッケンジー

「通信」が状況に適応したヒントを提示できれば、ゲーム体験は向上の見込みがある。例えばヴァイオラの入手後、ある連邦軍兵士は「どこへ行くのも自由だ」と話す。しかし実際には、物語を進めるためには火山に行く以外の選択肢は無い。他にもソルバレイでトカビ伍長を探すシーケンスも、多くのプレイヤーを困惑させたと思う (僕がそうだった)。通信によるヒントの機能不全は、一部のプレイヤーに空虚なソルバレイの放浪を強てしまっていたのだ。

通信で「化ける」ためのヒントは、『プライム』伝統の「スキャン」にある。本シリーズがスキャンを通じて世界観を文字で巧みに語るゲームだということは、ファミ通のレビューにもある通り。スキャンを通した世界の堪能は代えがたい体験で、僕自身のクリア時のスキャン率は 85% にも上っていた。スキャンで培った世界観の演出ノウハウは、そのまま通信を飛躍させる基礎になるだろう。

もう一つ、メックパーツ集めも空虚を埋める有力候補だ。スペースジャンプだけですぐ取れるパーツもあるのだし、テレポーターポーチップは早々に入手させるのが良いだろう。それなら「あそこにパーツが見えてる!装備が整ったら取りに来よう」と考えるキッカケになる (サンダーショットの取得後に取れるパーツとか)。もちろん「いつ集めてよい」だけだと現状のグリーン・クリスタルと同じなので、都度報酬も必須だろう。これによりソルバレイは、プレーヤーが目的を自由な順で挑戦できるノンリニアな体験の場に生まれ変わる。

広大な砂漠の地図、中央にクロノコーが表示され、異なる環境が存在する。
惑星ビューロス | メトロイドプライム4 ビヨンド | Nintendo Switch | 任天堂

ついでに言えば、わさわざソルバレイを駆け回って部品集めしたメックにも活躍の場を渡したい。サムスが乗り込んで操縦するとか、一緒に強敵と戦うとか、あるいは暴走したメックが制止すべき中ボスとして立ち塞がるとか。登場をこれでもかと焦らしたのに、ムービーの中でちょっと動いて壊れるだけではメックもプレイヤーも報われない。

[3] 中核的メカニクスに残された可能性を徹底的に追求し深堀り

『プライム 4』の中核要素、サイキック能力と探索すべきマップにも、深堀りの余地を感じた。それぞれ見ていこう。

まず、サイキック・グローブとコントロールビームが拓いたサイキックの新領域には、まだまだ面白いメカニクスの候補が眠ってそうだ。もし炎、氷、電気といった伝統的 (あるいは凡庸) な属性ショットの代わりに、もっとユニークなサイキック能力を獲得していたらどうだっただろう。例えば透視、未来視、瞬間移動といったサイキック能力があれば、シリーズの進化はさらに際立ったかもしれないね。

というのも、登場したサイキック・スパイダーボールやサイキック・グラップリングなどには、サイキックらしさを追加する余地がまだあるのだ。これらは初代『プライム』から基本的に何も進化しておらず、従来からあるメカニクスを “サイキック” と呼び直しただけに終止している。

サイキック能力を紹介したトレーラー

さらに、メトロイドヴァニアの真髄である「探索」にも、再検討と深堀りの余地と可能性を感じた。本作のマップは迷路としての複雑さが控えめで、一本道の構造も多い。2021 年の『ドレッド』、2023 年の『プライム 1 リマスタード』を経てメトロイドは空前の注目を集めてるから、あえて難易度を抑える判断があったのかもしれない。わざわざ地図を見なくても、通常プレイで道に迷うことはほとんど無い。

とは言え比較的単純なマップを採用するなら、あからさまな “誘導演出” は減らしても良かった。マッケンジーの余計なネタバレ通信は各所で指摘されてるね。他にもアイスベルトで吊り橋が千切れるのとか、グレートマインズで掘削機が道を塞ぐのとか。退路を断たれるとドキドキするけど、一本道の構造だと単に選択肢が減って「やらされ感」も同時に強くなってしまう。主体的な探索こそ、メトロイドヴァニアの核心のはず。

僕のゲームプレイの記録。初見 100% クリアまでの所要時間は 30 時間弱だった

冒頭に書いた「割とすんなり (= 呆気なく) 回収率 100% まで行けちゃう」の原因も、単純なマップやパズルに原因がありそう。メトロイドは後半サムスが強くなるにつれて大味になるのが常だから、その分を難易度の高い迷路やパズルで補えるのが望ましい。『ドレッド』の収集要素の難易度とか、すごくよかったもんね。

[まとめ] 興奮冷めやらぬ『プライム 4』を、さらに超える続編にも期待が高まる

発表から発売までに要した 10 年弱もの歳月は、『プライム 4』開発の QCD (品質、予算、納期) 最適化の難易度を猛烈に引き上げたことだろう。しかしファンにとっての良い知らせは、エンディングからすでに『メトロイド プライム 5』の兆しが感じられる点だ。

クレジットロールのテキストが表示された画面。技術工学、ツール工学、技術アート部門のメンバーがリストされている。
メトロイドプライム4 RTA走者の初見プレイ感想【ゆっくり解説】 – YouTube

というのも、本作の物語は最後においても完全には決着せず、続編で続きを語りうる余地が十分に残されているのだ。オープニングにおける惑星タナマールの研究所の急襲、トカビ伍長のペンダントの意味、引き継がれたラモーン文明、そしてサイラックスの動機など、未回収で宙吊りにされた要素が数多く存在している。

これらは『メトロイド プライム 5』への引きのためにあえて中途半端にしているとも推測できる。同様の感想は他のレビューでも見られたから、僕だけの印象ではないのだろう。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない結末では、何が起きたかよく分からない。『プライム 5』『プライム 6』とさらに素晴らしい続編を投入し、トリロジーで総合 360 点を獲得する未来が早くも楽しみになる。『プライム 4』は、そんなゲームだ。

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