思ったより甘くなかった

終電じゃないけど夜の電車。今バイト終わって乗ったけど。
ドアが閉まった。正確に言うと、閉まりはじめた。今ホームにいるおじさん、駆け込み乗車するかしまいか思案する0.1秒。
思案が終わった0.1秒後。0.1秒分ドアはさっきより狭くなってる。おじさんは駆け込み乗車し始める。
ドアまで辿り着いた。ドアはもうおじさんの体が入れるほど広くない。すかさずおじさんは肘を電車内に入れ込む。
腕が挟まった。ドアは閉まり切らないまま腕を挟む。おじさんは残った左手でドアを抉じ開けようとする。
ドアを抉じ開けるとおじさんは車内に乗り込んだ。ドアはおじさんの手が離れるとまた閉まり始める。
その一部始終を見ていたホームの別のおじさん。彼も0.1秒の思案の末に駆け込み乗車を選択する。
駆け込んでくる。でもドアはすでにさっきのおじさんを車内に仕舞って閉まり始めてる。
ホームのおじさんの腕も入らないくらいに閉まりかけのドア。こんどは行方を指に阻まれた。
手で無理やりドアを開けるホームのおじさん。指だけじゃ心許ない。力がうまく入らないみたいだ。
それを見たさっき駆け込んだおじさん。同胞を見捨てない優しさで、ドアを開けるお手伝い。ドアが二人の力で開けられる。
人が一人入れる幅を確保した。ホームのおじさんはひらりと車内に滑り込んだ。
またその一部始終を見てた別のおじさん。一部始終も見退けないままに、二人が協力し始めた時点くらいから駆け込み乗車に望みを託す。
早く帰りたい。その一心が体を強く突き動かしたんだろう。滑り込んだ二人目のおじさんに続いて乗車した。もう隣のドアなんか閉まり切って5秒くらい経ってるのに。
ドアが閉まりだす。やっとあるべき姿に落ち着く。と思ったのも束の間。4人目の登場。3人の共闘。
結局4人も駆け込み乗車(しかも間に合ってなくて無理やり)した。なんてこったい。

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