【解説】たばしけフォントを大解剖!

たばしけフォントを解説します.
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たばしけフォントは,たった一つの数値で表現できる

始めに書くと,たばしけフォントとは,僕の創作した自作のフォント.下に載せる画像の字がそれ.かなり強く図案化してるから,俺にしか読めません笑.俺が楽しむために趣味で作成したので,まぁこれでいいの!
異国情緒
この「たばしけフォント」は,ただ一つの数値 \(X\) ( \(0 < X < 1\) )によって全て説明できます.その数値とは,「基本となる字の幅に対する線の太さの比」のこと.その数値を変化させると,異なるタイプのたばしけフォントを量産することも可能かもね.まぁそれをするのはかなりの手間なので,そんなことはしないと思うけど笑.でも数値を一ついじるだけでバリエーションを出せるというのは個性的で魅力的でしょ?何よりも「たばしけフォントは,たった一つの数値で表現できます」というシンプルさは俺にとって気持ちがいいのです笑.
その数値 \(X\) ,具体的には次の値.
\(X=0.8085…\)
まぁこれだと分かりにくいから分数で書くと次の通り.
\(X=\frac{\displaystyle 38}{\displaystyle 47}\)
これが基本となる字の幅に対する線の太さの比です.図に書くとこんな感じ.この太い線を基準にして,全体を構築していくのです.
design_simple
実際には書く前に「比率」を具体的な値で数倍してから書き始めるわけなので,「比」と「大きさ」の2値が要る.「比」は大きさを無視して一般化したものだからね.ということで,以降は \(a\) と \(b\) を使って,たばしけフォントの構成要素を解説していくよ.

概ねの高さを決める

さて,たばしけフォントにとって最重要な数値 \(X=\frac{\displaystyle 38}{\displaystyle 47}\) が決まったので,後はこの数値を上手に組み合わせて形状を指定するだけ.まず最初に決まるのは文字の基本となる高さ.基本となる高さと言っても,実は xハイトはこの段階では決まりません.この次の作業で決まるよ.
height
高さは上図のように決められる.言葉で書けば,「斜め45度の線が綺麗に右側の線から左側の線に接続するために必要な高さとして決められる」って感じかな?実際にはそれだけだと少し俺の欲しかった高さに足りないので,上下対称に長さ \(c\) だけ下駄を履かせてる.これによって特徴的な縦に長い形状を実現してます.もちろん \(c\) は最初に決めた数値 \(X\) から決められる値だね. \(a\) と \(b\) で表すなら, \(c\) はこうなる.
\(c=a-b\)
今後 \(c\) を特徴的な「短い長さ」として何度も使うので,新しい文字として定義しときました.また使うのでね.途中にある斜線の長さも奇跡的(=必然的)に整数で書けます.
\(2a-b\)
これで,だいたいの高さが決まりました.でもこれだけじゃ終わらない.というか,ここから微調整した長さを xハイトとして用いるよ.

xハイトを定義しよう

多くのラテン・アルファベットのフォントで,\(C\) や \(O\) のような,下が曲線的になってるグリフでは,実はよく見ると線がベースラインをいくらか下回ってるということがよくある.目の錯覚で,線がベースラインから浮き上がって見えてしまうのを防ぐための工夫だね.それと同じことを,たばしけフォントでもやります.この微調整は,たいてい線の3%だけ沈めるとうまく行くそうですが,俺はそれ知らずにこのフォントを作成したので,そうなってません笑.たばしけフォントでは, \(\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle 2} c\) だけ沈ませます.
hi_and_lo_limit
これによって,さっきの形状からベースラインと xハイトが決定できました!これだけでもうほとんど決まったようなものだど,もう少し解説させてね笑.次はアセンダラインとディセンダラインを決めます.

アセンダとディセンダを決める

たばしけフォントではギリシャ文字の「ε」みたいな形状が頻出する.ラテン・アルファベットの「C」の中央に横棒を入れたような形,とも説明できるかな.今回はそんな字に,更に「c(フランス語に出てくるセディーユ)」のようなダイアクリティカルマークを付けるような状況を想像しながら読んでね.
asc-desc_line
この字は,「左右反転した ε に,セディーユみたいなものが付いてる」と理解したらいいかな.今回説明するのはディセンダラインとアセンダライン,そして「半端な長さだけ短くなる場合の,短くなる長さ」です.まぁ,上の図で全て説明は済んでるけど,一応言葉でも説明すると...

  • ディセンダラインは,ベースラインから長さ \(a\) だけ下にある
  • アセンダラインは, xハイトラインから長さ \(a\) だけ上にある
  • 「ちょっと短い」とか「ちょっとはみ出す」みたいな場合,長さ \(c\) だけ縮まったりはみ出たりする

実際にこのデザインを描くとなったら抽象的な比の値 \(X\) を,具体的な分母 \(a\) と 分子 \(b\) に基づいて算出するのは必然なので,だから「\(X\) だけで全て記述できる」は破れてないよ.具体的な大きさには言及せず,抽象的な「比」だけを指定するのがたばしけフォントのエレガントなやり口なのです(自己陶酔).
さて,ここで一つ重要な注意.たばしけフォントでは多くのラテン・アルファベットのフォントに倣って,基本的に丸底(または丸天井)は xハイトライン(またはベースライン)をはみ出します.

「丸底」と「丸天井」って,「C」とか「O」みたいな形の字のことね.反対に「E」とか「M」みたいな形の字をこの記事では「角底」とか「角天井」と呼びます.フォント世界の標準的な言葉ではないけど,何て呼んだらいいのか知らないのでそういうものだと読み替えながら読んでください笑.

ただし,次の場合は例外とします.例外とは,「丸底または丸天井だけど,アンダーシュートまたはオーバーシュートせずに,ベースラインまたは xハイトラインに接する」ということ.

  • 「h」「n」「u」のように,円弧につながる縦棒が円弧を超えて上または下に伸びている場合
  • 上図のように,セディーユ型のダイアクリティカルマーク(のようなもの)が円弧に付く場合

まさに2番目の例外に,上の図の字は該当してます.だからさっきまでの解説の丸底とは高さが変わってます!これに注意して欲しいので書きました.
まぁこれを知ったところで読者の皆様がたばしけフォントを再発明するわけでもないでしょう.これは自分のための解説でもあるからね.俺の頭の中を整理するための作業なんです!お付き合いください!そして次が最後のセクション!

濁点と半濁点.あと隙間

このセクションで,1文字,遂に完成するよ.下の画像の字が,ひらがなの(ひらがななんです!笑)どれなのか,想像しながら読んでね.と言ってもすぐ答え書くけど.
前のセクションで横方向のはみ出し,あるいは縮みは \(c\) の長さで,という解説を書いたけど,それは縦の隙間の幅にも当然当てはまります.たばしけフォントは極力例外を排除して,(ある意味で,「フォントとして美しいか?」を度外視して)数学的に単純であることを選択したのです.まぁそもそも読みにくいしね笑.
gi
縦の隙間が \(c\) になってるのが上の図から見て取れる.もうひとつ,このセクションで語るのは「濁点」と「半濁点」の場所.たばしけフォントでは「濁点」と「半濁点」を「¨(ウムラウト)」とか「ドット符号」のように表します.変わってるでしょ笑.一辺の長さが \(b\) の正方形を並べて書けば濁点,一つだけ書けば半濁点,ということになります. \(b\) は具体的に線の幅を決める値なので, \(a\) と同様に \(X\) で表すことはできないね.濁点も半濁点も,アセンダラインに揃えて,文字に対して中央揃えで書く.ううむ,記号的で美しい!
さて,これで完成したこの字のグリフ,どのひらがなでしょうか?正解を書いちゃうよ.たばしけフォントでは,このグリフをUnicode U+304E 「ぎ」に対応付けます...読めないでしょ笑.いや,待って.よぉくよぉく見てみて.だんだん「ぎ」に見えてくるはずだから.たばしけフォントはこんなふうに,ぱっと見てはひらがなかどうかさえ疑わしいグリフばかりを含んでるけど,実はよく見れば分からんでもない絶妙な字形なんです!
どうでしょう.たばしけフォント,魅力的に見えてきました?以上の規則を使いながら絶妙に変形させたひらがなを当てはめたのが,この「たばしけフォント」なのです.使ってみると凄く混雑してて,異国情緒漂う不思議な感じを演出できるひらがなフォントになっております.楽しんでね!
異国情緒

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