【ITビジネスの原理】前半中盤の経験者の語りは面白い

書き始めは凄く面白い.後半ははてな.

読んでみたら止まらなかった

「ITビジネスの原理」という本を読んだ.始めの章に書かれている内容は,なるほど「原理」と呼ばれるのに相応しい内容だ.ごく簡単化して言えば,利益とはつまり,「売値 – 仕入れ値」のことだ.だから,できるだけ安く仕入れて,できるだけ高く売る事ができれば利益は大きくなる.言い換えると「これにはあまり価値がない」と思っている場所で仕入れて,「これには大きな価値がある」と思ってる場所で売る,ということ.
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つまり,商売とは価値観のマッチングであると,本書は主張する.これには目から鱗が落ちた.本文には大航海時代の胡椒や,リクルートが提供する転職サービスを例に挙げてる.インドではその辺に生えてる胡椒を西欧で高く売る.転職経験の豊富な人の知識を,これから初めて転職をする人に対して売る.価値の差をマッチングさせてるから商売として成立するね.
これがビジネスの本質.本質の一側面.とても面白い見方だと思った.

失速する後半

著者の尾原和啓さんという方は,計10回の転職を繰り返し,最近ではGoogleから楽天に移ったという経歴の持ち主.そういう彼の主張は,かなり彼の経歴を正当化するために最適化されてる印象を受けた.…という言い方だと意味不明だな.もう少し分かりやすく言うべきだ.
彼は「これからのインターネットは,従来のアメリカ的なものから,より日本的なものになっていくだろう」と予測している.具体的には「ローコンテクスト」から「ハイコンテクスト」へ移行すると言ってる.同じ価値観,同じ前提知識を持った人が集まって,より密度の濃いコミュニケーションが生まれるだろうという意味.
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TwitterでもFacebookでも,自分の興味の範囲を超えてフォローしないじゃん.とすれば自分の周りには自分と同じ趣味趣向を持った人ばっかりになる.インターネットは人を繋げるけど,その繋げ方は「異質な人同士を繋げる」というより「同質な人同士を繋げる」というもの.人々は共通性のもとに集合して,繋がるというよりも細分化が進行する.
前提知識を共有しない人同士の会話では必要だった「前提の共有」が,同質な人同士の会話では必要無い.そこでは「阿吽の呼吸」のような,ハイコンテクストなコミュニケーションが生まれる.インターネット全体は,ハイコンテクストなもの・ことで溢れるだろう.…というのが彼の主張.

賛成しない

彼はそのハイコンテクスト性を「日本的」と呼び,インターネットはAmazon的なもの(ローコンテクストの代表)から楽天的なもの(ハイコンテクストの代表)へ移行すると主張する.それに僕はほとんど賛成しない.だから後半はつまらなかった.
当然,人々の細分化は起きるだろう.というか今現在だって起きてる.でもそれが全体の傾向となって,繋げる方向性が失われるとは到底思えない.その両方が進行するだろうと思う.異質な人同士を繋げることに依るメリットはあるんだから(本書の冒頭の「原理」は,まさにそれだ),それが全体の中の少数派になるとは思えない.
アメリカ的な傾向から,日本的な傾向への変化.だから私はGoogleを辞めて楽天に入社しました.という話の流れ.ふぅん…あらそう…って感じ.著者のキャリアがいかにかに正当かの説明を聞いてるみたいで,ちょっと冷めた.出資でも募ってるのかな?

前半中盤の知識系の話はためになる

とは言え,満足度は60%程度.決して始めから終わりまで白けた目で読んだわけじゃない.前半の「ビジネスの原理」の話題,中盤の「インターネット黎明期→モバイルインターネット→スマホ時代」というまとめは,単純に知識として面白い.
でも全体として話題が古い.最も強く古さを感じさせるのはGoogleグラスの話題.2016年現在,Googleグラスの話をする人はいない…笑.2014年の本らしいから仕方無いのかもね.
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あと表紙がダサすぎる.誰が表紙作ったんだろう?筆記体のフォントを使ってるのに字の終筆が次の字に繋がってないのはわざとなんだろうか…?わざとだとすると意図は…?わざとじゃないとすると,筆記体を知らないのか?よく分からない…笑

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