環境・社会論レポート「環境負荷の解決策を win-win 型へ転換せよ」

これは,2013年,大学4年生の僕が授業の課題レポートに書いた文章.自分の頭で考えて文章を書いていることが読み取れる点は評価できる.広告のビジネスモデルの効力を過大視している感を否めないけど,これは当時の僕が広告事業で大成功した Google を見ていた影響が大きいだろうね.今でも Google は好きだし…

架空のシナリオの登場人物が多くて複雑だったので,新しく図を描き起こしました.図解で少しは読みやすくなったかな?当時から見出しを振っていたようなので,図解の追加を除いて本文はほとんど編集してない.でも2点だけ呆れたのは:

  1. 「序論」や「まとめ」では見出しとしての機能をほとんど果たさないよね.このことを僕が理解したのは,大学卒業後ずいぶん経ってからでした.
  2. 第2節「具体的な解決策の提案」第3項 第6文で,想定する「建設事業の関係者」として「その家のお父さん」を挙げていた.性役割の偏見を再生産する表現だったので改めた.

1. 序論

企業コンプライアンスと、企業活動における環境対応について考える。企業が社会からの要請にしっかりと応えていくことは非常に重要だ。企業は法令を順守しながら利潤を追求し、社会貢献していかなければならない。しかしある企業の行う事業が短期的に社会に負担を強いることもまれではない。工場排水はわずかにでも環境汚染の引き金たりうるし、外食産業の残飯なども大きな損失に数えられるだろう。それらを社会の「負」にしないで、いかに利益あることへ転換できるかが、これからは大切になるだろう。

例えば授業の中で、このようなテーマが提示されたことがあった。私は大学の図書館の建設にはどのような環境影響があるか、またそれを解決するにはどうしたらよいよいか、というものについて書いた。この問題について騒音を取り上げて、騒音をいかに近隣の住民の迷惑にならないようにするかということについて考えたのだ。今回のレポートではその問題を更に深く掘り下げて考える。そもそもこのような問題は解決が難しい。建設を受注した会社はそこで利益が確定しているから、それ以上の努力を図らないかもしれない。しかし近隣住民は建設に伴う騒音の問題に向き合わざるを得ない。建設を請け負う会社はそれなりに防音対策を講じているはずだが、それも完璧ではないだろう。それをいかに完璧な対策へ持ち上げるか、という問題なのである。建設会社にこれ以上の負担を強いるのは酷だ。それでは建設業の負担は際限なく大きくなり経営を圧迫されるか、建設の発注側が大きなコストを負担することになる。どの道、問題解決の対策にはコストが必要で、それを誰かが受け入れなければならない。このような考え方では、現状以上の騒音対策は望めないだろう。

誰かがコストを負担する形をwin-lose型と呼ぼう。建設会社が騒音対策のコストを負担することになろうが、建設の発注者が負担することになろうが、そこにコストがある限り、どんな解決策もwin-lose型になる。あるいは騒音対策を行わずに近隣住民の我慢を強いる結果も、ある意味では住民がコストを負担したwin-lose型の結果といえるだろう。問題の解決に際して、誰かが損をしなければならない解決策、これをwin-lose型とする。このような発想では問題の解決は責任の押し付けあいになり、問題は一向に解決されない。上手に解決するためにはwin-win型の解決策が必要だ。そのためには文字通り「発想の転換」が鍵になる。今ある「コスト」を「コスト」としない、新しい解決策の模索がヒントなのだ。

2. 具体的な解決策の提案

例えば大学のマルマル研究室が、株式会社サンカクと技術提携して、新素材の研究開発をしているとする。その素材(仮に名前をソザイとする)は防音性、断熱性に優れ、一般家庭の窓ガラスに貼り付けることで、大幅に防音断熱性能の向上が見込める素材である。株式会社サンカクはそのソザイを一般家庭向けに販売している企業である。

ここにwin-winの解決策が見えてくる。方向性はこうだ。建設を受注したマシカク建設は株式会社サンカクに対し、自身の企業スローガンやロゴを印字したソザイを発注する。その時の料金はマシカク建設が負担することになるが、先に言っておくとこれはマシカク建設にとって一方的な負担にはならない。株式会社サンカクは、マシカク建設からもらったお金でソザイを生産する。そしてそれをマシカク建設に売り渡す。ここですでに株式会社サンカクは利益を生み出している。しかしまだ株式会社サンカクの出番は終わらない。マシカク建設は工事を行う際に、近隣住民のポストにパンフレットを投函する。それは「大学の新図書館建設に伴う騒音の問題について、私達からの提案です」みたいなタイトルで、このプランの概要を説明するものだ。いついつに訪問販売するから興味のある人はぜひお試しください、とか書いておくのが有効だろう。

マシカク建設は工事を行うかたわら、そのパンフレットで案内しておいた日時に、近隣住民の家を訪問する。そして『大学のマルマル研究室と株式会社サンカクが共同で開発しているこのソザイを、今なら工事期間中、無料でお試しできます』とか、そのような旨を案内して、住民に使ってもらうのだ。窓に貼るだけだから簡単ですとか、冷暖房効率が30%改善しますとか、そういうセールス文句をパンフレットに書いたように言うのもいいだろう。パンフレットを投函した全軒が、そのソザイの無料お試しを受け入れることはないだろうが、もしソザイが秀逸な素材であるならば、事情は様々にせよソザイの需要はあるはずだ。いくつかの住民に試してもらうことで、マシカク建設はメリットを受け取ることができるだろう。マシカク建設のスローガンやロゴを印字したソザイを家に置いてもらうことで認知度は上がるし、その家に建設事業の関係者がいるならより効果が高い。そして何より、騒音問題の解決を求める住民の要求に応えることができるのだから、この点で優れているやりかただろう。

商流の図解

工事の完了後、住民はソザイを気に入れば、マシカク建設からそれを買い入れることができる。またマシカク建設の広告入りでは落ち着かないようなら、直接に株式会社サンカクからソザイを購入してもらうこともできる。その場合、販売促進に貢献したとして株式会社サンカクは、マシカク建設に対しインセンティブを支払うという形にすると自然だ。もちろん、もしもソザイを試した住民がソザイを気に入らなければ、マシカク建設がゴミとして引き受ければ良い。建設会社にとって、その程度の量のゴミなら工事の際に出たものと一緒にして廃棄できるから、大きな問題にもならない。

こうして(一)、マシカク建設は騒音問題の解決を望む住民の要望を満たすことができ、また同時に広告も可能だから、隠れた工事発注の需要を見つけたり、企業イメージや認知度の向上が見込めたりする。もちろんソザイの販売に成功すれば利益も見込めるから、この関係の中で一方的にお金を垂れ流す役割ではない。(二)、株式会社サンカクはソザイを確実に売ることができるし、もちろんマシカク建設の広告なしのソザイを売る機会も持てるのは大きなメリットだろう。(三)、近隣の住民は騒音問題から解放され、ついでに冷暖房効率が向上するなら言うことなしだ。

3. まとめ 

以上の議論のようにして、問題の解決はwin-win型を達成し得るだろう。もちろん私はまだ学生の身分であるから実際のビジネスの場面は知らないし、このような議論は机上の空論にすぎないかもしれない。そもそも騒音は窓以外からも住宅内に進入してきそうな気もするし、この議論を進めるに当たって都合いいように「防音・断熱」などと実在するか分からない素材の存在を仮定している。しかしこの議論の論旨はそれらではないことを注意しておく。言いたいことは、「発想の転換によって、現存する問題の解決策はwin-lose型からwin-win型に転換できるはずだ」と言う点だ。上の例で言うならば、騒音対応という「コスト」を、企業利益の「ネタ」、つまりビジネスチャンスにしているものがないかを探すことが、発想の転換の肝になっている。

現実の問題は、上記の議論のように単純では無い場合が多いだろう。しかし問題をwin-win型で解決する方法を模索することは、企業のコンプライアンスと、企業活動の環境対応の達成を手助けするだろう。

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